『世紀末ウィーンのグラフィック デザイン、そして生活の刷新にむけて』目黒区美術館
20世紀初頭のオーストリア・ウィーン中心に起こった「分離派」、
このころの版画、装丁、デザインについての展示です。
京都国立近代美術館からの巡回展でもあり、その美術館所蔵の作品が多く展示されていました。
とにかくさまざまな形態や作られ方をした展示品が並んでいました。
特に気になったテーマが、後半の
《3 版画復興とグラフィックの刷新》と《4 新しい生活へ》でした。
このころの新聞や書籍など、情報の記録として使われていた版画は、
写真の技術が出始めたことにより使われにくくなります。
しかしその転機により、版画はアートの分野で再び注目され、
木版画、カラーリトグラフなど、繊細な作品が多く生まれたそうです。
エルンスト・シュテールの《山の湖》《湖》は、1906年ごろのモノタイプの作品です。
暗めのベージュが重なった部分で山や木を、深い青色や緑色で湖をぼんやり表現しているところがよかったです。
写実よりもどこかグラフィックデザインやイラストのようになっていて、好きな作品でした。
20世紀初頭は、先ほどの版画や絵画など美術作品を「純粋美術」と呼んだのに対して、
生活の中で出てきはじめたグラフィックデザインを「応用美術」と言われ始めた時代でもあります。
《4 新しい生活へ》では、純粋美術と応用美術の違いを認めず、
うまく混ぜながら製作されていたものが紹介されていました。
装丁やカレンダー、ポスター、トランプなど、見ていると現代に近いものを感じました。
ペーター・アルテンベルクの《クンスト(芸術):芸術とそのほか全てのための月刊誌》1903-04年
表紙のパターンがかわいい!
展示は撮影可能なところがほとんどなので、たくさんメモをしなくてもよくて安心しました。
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